作品
「草上の朝食(「家事労働組合」シリーズより) / Breakfast on the grass (from the series ‘Domestic workers committee’)」 2021年 映像 [11:37]
「家政婦の碑はどこ?「家事労働組合」シリーズより) / Where is the monument of the housemaid? (from the series ‘Domestic workers committee’)」 2021年 写真
「ヨーロッパを夢見た / I dreamt of Europa」 2022年 王冠、映像 [5:00]
「緊急キオスク / Crisis Kiosk」 2023年 ミクストメディア -「ひまわり」連帯文化センタ(ユリア・クリヴィチ、タラス・ゲンビク)、マルタ・ロマンキフ
「ロシア国旗(「脱色した国旗」シリーズより) / Russian flag (from the series ‘Faded flag’)」 2019年 旗
コンセプト
「草上の朝食(「家事労働組合」シリーズより)」
この映像は、マルタ・ロマンキフの発案で結成された高齢者介護者グループの会合の様子を記録したものである。作家は、心身ともに疲弊する仕事、24時間体制、休日の少なさといった厳しい現実とは裏腹に、介護士が常に努力していることに触れ、「休息と夢に集中しよう」と参加者に呼びかけた。
写真:ウーカシュ・スロヴィエツLukasz Surowiec
参加者:
オルガ・ベドリンスカ、リディア・ボレンフク、ナディア・ドゥバニフ、ガリナ・フェドリハク、ガリナ・ゴイ、オルハ・ハポニュク、ナタリア・フラディシュ、オクサナ・ホレンコ、タニア・ヤヴィル、アラ・ナダシュケヴィチ、アンナ・オメリアンスカ、ラスラナ・ポベレジニク、ナディア・シャポヴァル、マリア・シュボラク、テティアナ・スモリャ、ルボフ・シュク
「家政婦の碑はどこ?「家事労働組合」シリーズより)」
2022年5月1日の国際労働者デーに、労働者・家事労働者委員会の代表がクラクフのミツキエヴィチ記念碑の広場にて、使用人の歴史を記念する必要性を明示した。戦前、ポーランドの大都市では、労働人口の30パーセントが使用人だった。彼らの仕事のおかげで、上流階級は芸術、文学、建築に力を入れることができ、現在の文化の都というイメージを作り上げたのだ。彼らは非常に厳しい条件のもとで、わずかな生活費を稼ぐために過酷な肉体労働をこなしていた。仕事のために、自分の人生を犠牲にし、家庭を持つことをあきらめた人も少なくない。
「家事労働者として、私たちは現代のポーランドで最も目に見えにくく、保護されていない社会集団の一つです。私たちは、使用人の離散の歴史を記念することなしに、私たちの労働条件の真の改善のために戦うことはできないと信じています。」
-家庭内労働者たちによる、クラクフ市長に宛てた手紙より
写真資料:マテウシュ・リピンスキ
「ヨーロッパを夢見た / I dreamt of Europa」
パフォーマンスは、平等で強く、統一されたヨーロッパの夢について言及している。映像作品に使用したテキストは、ウクライナの記事からの抜粋であり、ウクライナの現在のヨーロッパとヨーロッパ的なるものの定義を示す文章である。
ユーラシア大陸の一部であるヨーロッパは、西、北、南は明確な国境を持つが、東の国境は不正確で流動的である。ヨーロッパは、地理的・社会的実体としてではなく、精神的な構成要素として機能しており、東ヨーロッパと定義される国々の場合、しばしば望ましい未来と同義となり、もうひとつの「より良い世界」と同義となる。
「緊急キオスク / Crisis Kiosk」-「ひまわり」連帯文化センター(ユリア・クリヴィチ、タラス・ゲンビク)、マルタ・ロマンキフ
緊急キオスクは、生存システムの集合的な記録であり、2022年2月24日以降、ヨーロッパで続いている戦争と、世界的な経済危機に対する反応である。危機の時代には、相互支援や草の根運動の重要性が際立つ。トップダウンの支援やシステム的な解決策を待つ間に、パンをいくつに分割できるのか、ということなのだ。私たちは、あなたのサバイバルレシピを共有し、世代を超えた物語を書き残すことを望んでいる。 食べ物、コミュニティ、そしてサバイバルに関わる多くの創造性にまつわる勇気づけ。
私たちは、連帯というテーマに加え、犯罪的なロシアのウクライナ侵攻がもたらした社会的・政治的変化、そして地元住民だけでなく世界と静脈でつながった植民地化された土地から生まれる、依存と支援の両方の物語に焦点を当てる。ウクライナの領土は肥沃な土壌と食糧資源で有名であり、その領土での戦争はこれらの資源の争奪戦でもある。数ヶ月前まで、世界有数の穀物輸出国であるウクライナは、小麦、トウモロコシ、ヒマワリの種など、毎月450万トンの農産物を世界に送り出していた。今、ロシアの猛攻で、各地の農民は土を播くことができず、ロシアの爆撃で作物は破壊され、占領地にある食糧は占領軍によって輸出されているのだ。国際機関は、ウクライナでの戦争が世界的な食糧危機を引き起こし、それが数年間続く可能性があると警告している。気候危機と相まって、その影響は悲惨なものとなり、何千万人もの人々が生きるための初歩的な手段を奪われる可能性がある。
緊急キオスクプロジェクトは、ロシアの侵攻によって直接被害を受けた人々、すなわちウクライナに住む人々や食糧不足の影響を受けている人々への連帯の行為である。私たちは、情報を共有し、食糧、エネルギー、経済などの危機を乗り切る方法を見つけることに重点を置きる。日々の活動のために、料理をレシピと組み合わせる。食の中には記憶があり、仕事と休息が同時にある。食の中には植民地主義がある。食の中に平和のための闘いがある。ウクライナの裏庭で行われているように、ひまわりの殻を剥くという共同作業を、会って話をするきっかけにしたいのだ。種のように、多様性の中で強さと滋養を発揮するような、持続するコミュニティ。
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「ロシア国旗(「脱色した国旗」シリーズより) / Russian flag (from the series ‘Faded flag’)」
ロシア国旗は、もともと白、青、赤の3色だった布をそれぞれ変色させ、縫い付けている。国旗の脱色は、ロシア連邦のような帝国主義国家が単なる歴史的要素に過ぎなくなる未来を想像する試みである。この作品は、識別の容易な記号としてのナショナルカラーが、しばしば覇権的抑圧国家の概念を永続させ、「想像上の共同体」を作り出す道具となる問題に焦点を当てる。「偉大な国家」という概念を人為的に押し付けようとする抑圧を指摘し、暴力行為によって占有された領土や民族が存在する国家であるロシアの脱植民地化の必要性に注意を促す。
参照:URL
プロフィール
1995年リヴィウ(ウクライナ)生まれ、2015年よりポーランド在住。リヴィウ州立装飾と用芸術大学で陶芸科卒業。クラクフ教育大学(ポーランド)で芸術とメディア専攻、学士号を取得。シチェチンの芸術アカデミー(ポーランド)で修士号取得。国際的に活躍し、主に社会的排除、特に国籍、市民権、および関連する社会的不平等、アイデンティティ、法的問題などのテーマに焦点を当てている。彼女のプロジェクトは通常、参加型であり、社会活動、科学、芸術の境界に位置する。
展覧会
会場