展覧会概要
「再解釈」は不服従の行為である。それは、確立された表象の秩序を逆転させ、脱植民地化の行為と同様に、中央から押し付けられた普遍主義の言語に対して異議を申し立て、辺境の植民地を中央に組み入れようとする試みである。 再解釈は、つまり、これまで排除され、虐げられてきた人々の声を回復させることかもしれない。 エジプトの作家であり活動家のナワル・エル・サーダウィの言葉を借りれば、今日「私たちに必要なのは、伝統や宗教への形式的な回帰ではなく、歴史を再読し、再解釈することによって、現在を照らし、より良い未来への道を開くこと」なのだ。
本展覧会では、特権的な中心部の外にいる人々の多様な在り方や自発的な行為を再解釈し、よくある西欧覇権主義から離脱するため、いわゆる「非英語圏」の世界から主に作家を招聘した。
本展に招待された作家たちは、実用主義的な単一主義に反対して、複数性、詩的な優しさ、共同体的連帯を支持するために、ロマン主義の思想とポストコロニアル批判の両方にルーツを持つ、不服従の行為を新たに読み直している。個人の疎外感、トラウマ、失敗、欠如の価値を見出す19世紀のロマン主義思想には、精神的・道徳的秩序に基づき、自身を差異化し、異なるものに対して開かれ、人間性形成の一側面、近代文化に対する抜本的な批判にも、文化のビジョンを再構築するという「再解釈」の視点を見出すことができる。
再解釈の活動を通して、現代の歴史修正主義、絶えず繰り返される帝国主義の恐怖、個人と国家のアイデンティティ、政権のプロパガンダの本質、「植民地化した側とされた側」のポストコロニアル史に関する問題について、新しい読解の可能性が示される。
たとえば、カラオケプロジェクトに招待したり、変容する多義的な民話を集め共有しあったり、女性の家事労働者の権利に関する議論に、歴史的記念碑を象徴的に取り込んだりすることによって、作家たちは、社会秩序から排除された集団やコミュニティに、文字通りの意味でも、比喩的な意味でも、再び声を与え、新たな物語や実践を生み出そうとする。
こうした表現を通じ、歴史、ジェンダー、アナキズム、神秘主義やロマン主義の再読を行い、既存の枠組みや解釈を超える「新たな解釈(再解釈)」を呼び込みたい。
協力:辰野株式会社
連携事業:船場アートサイトプロジェクト
イベント
「ひまわり」連帯文化センター《緊急キオスク》パフォーマンス
ウクライナ料理を食べながら、占いをしながら、マランカの日に真実を発見し、脱植民地化をスタートさせましょう。
日時:1/28(土)17:30~19:00 ※時間が変更になりました
出演者:「ひまわり」連帯文化センター(ユリア・クリヴィチ、タラス・ゲンビク)、マルタ・ロマンキフ
会場:船場エクセルビル 5F
「再・解釈」展アーティスト&キュレーターズトーク
日時:1/28(土)13:00~15:00
会場:船場エクセルビル
「コレクティヴ・ワスキと一緒にカラオケを歌おう!」
日本語・英語・ウクライナ語・ポーランド語の曲が入ってます!歌声で革命を起こしましょう!
日時:1/28(土)16:00~18:00、1/29(日)16:00〜19:00
出演者:コレクティヴ・ワスキ(ユリア・ゴラホフスカ、ヤゴダ・クフィアトコフスカ、下村杏奈)
会場:船場エクセルビル 4F
民話をつくろう ―ミャンマーと大阪の民話から―
日時:1/28(土)16:30~18:30
進行:アウンミャッテー
会場:船場エクセルビル 3F
申込先:https://peatix.com/event/3478243
Study:2023キュレータートーク
日時:1/28(土)19:00〜20:00
登壇者:南條史生(キュレーター/美術評論家/森美術館特別顧問)、加須屋明子、沓名美和、丹原健翔、パヴェウ・パフチャレク、藪本雄登(プロダクション・ゾミア)(以上、本芸術祭キュレーター)、鈴木大輔(株式会社アートローグCEO)
※登壇者は変更になる可能性があります
会場:船場エクセルビル 2F
釜ヶ崎芸術大学2022 Art and Kamagei 釜芸の芸術性をひもとく「アジールと限界芸術/今日のアジアと限界芸術」
日時:1/29(日)14:00~16:30
サバイバル複合芸術 ー Survive with Transdisciplinary-Arts Vol.1・Vol.2
Vol.1 「生命」 – アジールと限界芸術
モデレーター:秋田光軌
ゲスト:上田假奈代(詩人、詩業家、NPO法人こえとことばとこころの部屋代表)、福住廉(美術評論家・秋田公立美術大学准教授)
Vol.2 「生存」 ー今日のアジアと限界芸術
モデレーター:藪本雄登
ゲスト:Aung Myattay(アーティスト)、Tuan Mami(アーティスト)、福住廉
主催:秋田公立美術大学
共催:釜ヶ崎芸術大学、Study:大阪関西国際芸術祭 2023
企画:秋田公立美術大学 大学院複合芸術研究科
会場:船場エクセルビル 6F
定員:30名(事前予約制)
申込:こちらからお申し込みください
小松千倫アーティストトーク
日時:2/13(日)19:00〜20:00
登壇者:小松千倫
会場:船場エクセルビル 5F
キュレーター
加須屋 明子、パヴェウ・パフチャレク、プロダクション・ゾミア
アーティスト
アウンミャッテー、アウンミン、秋山由衣、小松千倫、コレクティヴ・ワスキ(ユリア・ゴラホフスカ、ヤゴダ・クフィアトコフスカ、下村杏奈)、ダニエル・コニウシュ、タラス・ゲンビク、トゥアン・マミ、ボグナ・ブルスカ、前田耕平、マルタ・ロマンキフ、ミコワイ・ソプチャク、ユリア・クリヴィチ
会場
船場エクセルビルについて
1970年大阪万博の前年に竣工した辰野株式会社所有の「船場エクセルビル ※(旧)船場合同ビル」には、2006年から2011年までの間、大阪市立大学のサテライト施設である「船場アートカフェ」が設けられ、建物の一角を中心に、アートとコミュニティに関する研究実践、文化芸術を介した都市再生への試みが展開されてきた。「船場アートサイトプロジェクト」では、そのDNAを受け継ぎ、活動拠点として、アーティストやクリエイター、ビジネスパーソン、地域住民がアートを中心に集い、出会う機会を創出している。
船場アートサイトプロジェクトとは
2021年、辰野株式会社(本社:大阪府大阪市中央区、代表取締役社長:辰野光彦)、株式会社アートローグ(本社:大阪府大阪市北区、代表取締役CEO:鈴木大輔)を主たる実行メンバーとして始動。
「船場」は、大阪の歴史的中心市街地で、北は土佐堀川、東は東横堀川、南は旧長堀川 (現在は長堀通)、西は旧西横堀川 (現在は阪神高速道路)に囲まれた南北2.1km、東西1.1kmの約230haの区域を指し、かつて船場の旦那衆と呼ばれる経営者達が住まい、文化芸術を支え育んできた歴史的背景を持つ。近年は、インバウンド需要によるホテルや職住近接によるタワーマンションの建設が進み、「暮らしが息づく街」、「職、住、遊がバランスよく調和する地域」へと変化を遂げつつある。
「船場アートサイトプロジェクト」は、2025年の日本国際博覧会(大阪・関西万博)開催を機として、大阪がドラスティックな変化の時を迎えている中、長年商都大阪を支えてきた船場地区をアートでアップデートし、国内外に向け一大アートサイトとしてリブランディングを試みる取り組みである。
開催実績
「船場アートサイトプロジェクト Vol.01」(会期:2021年7月17日(土)~ 9月5日(日))
「船場アートサイトプロジェクト Vol.02」(会期:2021年11月13日(土)~14日(日)、 20日(土)~ 23日(火・祝))
「船場アートサイトプロジェクト Vol.03」(会期:2022年1月28日(金)~ 2月13日(日))※「Study:大阪関西国際芸術祭 2022」のメインプログラムの一つとして船場エクセルビルの全フロアにて国内外の多様な作品を展示